少女

昨夜は日記を書かなかった。20人の少女の前で話をして、うまく言えたり言えなかったりしたことを反芻しながら、今の自分に足りないのは「他人」、分かち合うことをあきらめたくない「他人」との「対話」だ、と、気がついたら途端にがっかりしてもう眠りたか…

鬱屈

とにかく人と話す機会が少ない。そもそも、職場には人が少ないし、友だちも少ないし、バレエスタジオしか行く場所がない。そして全ての場所で、私は私のうつわよりすごく小さい振る舞いを強いられる。ある場所では、肩書きや名誉、(たいしたことのない)権…

紙と革

鳴るのではないかと思っていたのでうまく取れなくてしくじった。掛け直すと、ええ目の前のすぐそこにすわって居ますよ、というような口ぶりの彼女が電話に出た。 14時に能楽堂に行ったけれど、脇正面のいちばん後ろの席では集中できなかった。オミクロンと名…

秋が立って久しく

締め切った窓ガラスの隙間からなお漏れて入る,金木犀に泣けた.

蕪がみっつ

蕪がみっつあって、小さな鍋でシチューにふたつ使ってあとはお味噌汁、あるいは青菜炒めにすればよかったのに、大皿の思考しかないからぜんぶシチューにしてしまった。お味噌汁、青菜炒めのことはあとから思いついた。コンロのひとつしかない家に長く住みす…

それでも

残された一瞬の手がかりを追いかけるくらいはなんとか

逝け花

おまえが死んだという連絡を受けたのは 深夜の2時半をすぎたころだった。 バスケットボール部の朝練をこなしながら 体育の授業でさえとんでもないシュートを決めるおまえは いつも弁当を二時間目と三時間目のあいだに食べてしまって 数学の授業で居眠りする…

親友を亡くした男のこと

読経の時は目を閉じていて、いや、開けたのか開けていなかったかさだかでないが、彼はたしかに親友の姿を見た。白装束に白足袋で、岩山を登って親友は、彼を見てにっこり大きく口を開けて笑い、手を大きく振っていた。信じてもらえないと思って黙っていた。…

黴びた食パン

食パンがね,黴びていたの.という言葉がまず自分から出たことに驚いた.食パンは上司がわざわざこの前私のためにと,取引先へのおみやげのついでではあったんだけど買ってきてくれて,たしかにすごく美味しい代物だった.でも一本(3斤)はさ,やっぱり一人…

一心同体

晴れの日も雨の日も曇りの日も,雪の朝も雷とどろく夜も,気分の明るいときはもちろん落ち込んでいるときも,健康なときも病気のときも,お金のないときも少し裕福な暮らしをしているときも,あなたの鬱屈はいつでも私のものであったし,私の目はいつでもあ…

水の音

私の浴室にはシャワーヘッドをかけるところがふたつあって,自分では,高い方のは目を瞑って上から髪を洗い流す時だけ使う.そして必ず,下側の低い方にかけて浴室を出る.だから浴室が使われたあとに高い方のシャワーヘッドにシャワーが自然にかけられてい…

二律背反

ロマンスは生活に敗北するが,愛は生活から生まれる.

準備万端

あなたの孤独を孤独でないものにするために,私自身を孤独にしておく準備は万端.

リラの精と読書

バレエ「眠れる森の美女」にはリラの精という美しい妖精が登場する.生まれたばかりのオーロラ姫に,まだ贈り物をしていなかったリラ(ライラックの花)の精が「オーロラ姫は死にません.100年の間眠り続け,やがて目覚めるでしょう」と言って”16歳の誕生日…

たんじょう日 (2019.09.13のメモ)

この前、誕生日だった。 先月、私が誕生日を祝った人からは何の連絡もなかった。私のことは思い出したくないか、忘れたかしたのだろう。

私はひとりで踊りたい

4月2日,階段を18段落ちて怪我をした.歩くことはできるようになった.骨折も捻挫もない.打撲,擦過は少しある.踊ることはまだ出来ない.それがいちばん大きく悲しい.