2020-01-01から1年間の記事一覧
おまえが死んだという連絡を受けたのは 深夜の2時半をすぎたころだった。 バスケットボール部の朝練をこなしながら 体育の授業でさえとんでもないシュートを決めるおまえは いつも弁当を二時間目と三時間目のあいだに食べてしまって 数学の授業で居眠りする…
読経の時は目を閉じていて、いや、開けたのか開けていなかったかさだかでないが、彼はたしかに親友の姿を見た。白装束に白足袋で、岩山を登って親友は、彼を見てにっこり大きく口を開けて笑い、手を大きく振っていた。信じてもらえないと思って黙っていた。…
食パンがね,黴びていたの.という言葉がまず自分から出たことに驚いた.食パンは上司がわざわざこの前私のためにと,取引先へのおみやげのついでではあったんだけど買ってきてくれて,たしかにすごく美味しい代物だった.でも一本(3斤)はさ,やっぱり一人…
晴れの日も雨の日も曇りの日も,雪の朝も雷とどろく夜も,気分の明るいときはもちろん落ち込んでいるときも,健康なときも病気のときも,お金のないときも少し裕福な暮らしをしているときも,あなたの鬱屈はいつでも私のものであったし,私の目はいつでもあ…
私の浴室にはシャワーヘッドをかけるところがふたつあって,自分では,高い方のは目を瞑って上から髪を洗い流す時だけ使う.そして必ず,下側の低い方にかけて浴室を出る.だから浴室が使われたあとに高い方のシャワーヘッドにシャワーが自然にかけられてい…
ロマンスは生活に敗北するが,愛は生活から生まれる.
あなたの孤独を孤独でないものにするために,私自身を孤独にしておく準備は万端.
バレエ「眠れる森の美女」にはリラの精という美しい妖精が登場する.生まれたばかりのオーロラ姫に,まだ贈り物をしていなかったリラ(ライラックの花)の精が「オーロラ姫は死にません.100年の間眠り続け,やがて目覚めるでしょう」と言って”16歳の誕生日…
この前、誕生日だった。 先月、私が誕生日を祝った人からは何の連絡もなかった。私のことは思い出したくないか、忘れたかしたのだろう。
4月2日,階段を18段落ちて怪我をした.歩くことはできるようになった.骨折も捻挫もない.打撲,擦過は少しある.踊ることはまだ出来ない.それがいちばん大きく悲しい.