黴びた食パン

食パンがね,黴びていたの.という言葉がまず自分から出たことに驚いた.食パンは上司がわざわざこの前私のためにと,取引先へのおみやげのついでではあったんだけど買ってきてくれて,たしかにすごく美味しい代物だった.でも一本(3斤)はさ,やっぱり一人暮らしでは無理だったの.二日間くらいずっと,パン切りナイフで切って冷凍しようと思ってたの.でもそんな余裕がなかったの.そうしたらパンが黴びちゃったの.私には家族がいないし,パンをたくさんは食べられなかったんだよね.でも上司は私に親切でパンをくれた.それを無駄にしてしまった.それが悲しい気持ちの最後の引き金を引いてしまって,私は可燃ゴミの朝,しくしくと泣いてしまったんだよ.