実のところの第一子

食品は重い。軽いものを食べても腹は膨れないから重いのが良い。しかしもらった食品は重いうえに私は小食を心がけているから、うどんをひと箱、羊羹をひと箱、ずっしりと携えて実家に届けに行った。

 

母と父は離れた場所にいて、別々のテレビで同じように相撲を見ており、歓声と感想、「何でこんな格下に負けるんだよぅ」というような悔しさなどを、声を上げてお互いに共有する、という時間を過ごしていた。ソファで一緒に、などということはしない妻と夫であるのだが相撲観戦が盛り上がっているときは彼ら夫婦も円満なのである。私は週末にしか行かないからだいたい実家で見る相撲は千秋楽か千秋楽間近で、隔月なのによく目にするからそれでどうにも相撲というのはしょっちゅう優勝者が決まるものだなあと思っている。

 

母の関心を引きすぎると父が嫉妬心を起こして少々やっかいなことになると、今なら言葉にできるが、おそらくそういうことなのだった。気を付けることの多い少女時代だったが、散漫な子供だったために満足にはいかない出来だった。